社長さんの話のネタ

前職で役員をしていた会社では、毎週月曜日の朝礼でTV会議システムを使った「役員スピーチ」というイベントがあって、数週間に一度自分の番が回ってきました。

この時の話のネタを探すのが結構大変で、必ずと言って良いくらい日曜日は朝から頭を抱えて原稿作りをしていました。

そんな時、話のネタ本があればどんなに良いかと考えたものです。

そこで、私が中小企業診断士の研究会の一つ「本を書いて有名になろう会」で書き溜めていた「興味深い法則」というシリーズをご紹介します。

これは、私が新聞を読んだり、TVを見たり、本を読んだりして興味を持った「法則」のようなものをまとめたものです。ですから全てがオリジナルではありませんが、話のネタにはなりそうだなと考えています。是非、ご覧下さい。(下の目次にリンクさせてあるので、クリックして下さい)

 

<目 次>

興味深い法則(1):Zの法則

商品の陳列や紙媒体を見るとき、人間の視線はZの字を描くように左上から右上、右上から左下、左下から右下に動くので、それを頭に入れて配置やレイアウトを考えるのが効果的だといわれています。

脳科学では、右脳がイメージをつかさどり、左目と直結しているので、左側にあるものの方が認識しやすいといわれています。

そこでポスターなどの紙媒体では、図や写真は左側に、文字は右側に配置するのが基本となっています。商品の陳列でも、上下に棚があるときは、左上に目玉商品、右上に定番商品、左下に売りたい商品、右下に付加価値の高い商品など、視線の動きを意識して配置すると効果的だといわれています。これを「陳列におけるZの法則」といいます。

                            出典:新山勝利著「売れる商品陳列マニュアル」より

興味深い法則(2):Fの法則

ウェブサイトの視線移動をアイトラッキング分析(顔や眼球の動きを赤外線でとらえて、視線の動きを分析する手法)すると、読む人の視線は「Fの字」を描くように、最初はページの一番上を左から右に動き、次に少し視線を下に動かして左から右へ、その後は左サイドを上から下の方に視線を動かす傾向にあるのだそうです。

これを、ウエブサイトの「Fの法則」といいます。

そういえば、ホームページでは、重要な情報を左側に配置するケースが多いですね。

なにやら「Zの法則」との関連性も感じられて、興味深くありませんか?

                       出典:今木智隆著「ユーザー視点のウェブデザインガイド」より

興味深い法則(3):原因と結果の法則

英国の作家ジェームズ・アレンの書いた「原因と結果の法則」という本は、自己啓発書の原点と言われています。

その中でジェームズ・アレンは「心の中の思いが私たちを創っている。私たちは自分の思いによって創り上げられている。私たちが、自分の人格の中に組み込んできた思いの数々(原因)が、私たちをここ(結果)に運んできたのです。」と述べ、「自分自身の思いによって、自分をすばらしい人間に創り上げることもできれば、破壊してしまうこともできる」と言っています。

「年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うときに初めて老いがくる」という言葉で有名な、あのサミュエル・ウルマンの「青春の詩」にも、どこか共通するところがありますね。

                   出典:坂本貢一(訳)ジェームズ・アレン著「原因と結果の法則」より

興味深い法則(4):ハインリッヒの法則

相変わらず大きな交通事故が絶えませんが、一般に重大な事故が1件起きるとその背景には29件の軽度な事故があり、更に300件のヒヤリとした行為が存在していると言われています。

これが、ハインリッヒの法則と言われるものです。(最近はヒヤリ・ハットの法則とも言われます)

この法則は、米国の損害保険会社に勤務していたハーバード・ハインリッヒが労働災害の発生状況を分析して導きだした法則で、不安全な行動や状況をなくせば大きな事故は減少するという教訓にもなっています。

お客様からのクレームなど、めったに起こらない出来事にも適用できるかも知れませんね。

興味深い法則(5):パーキンソンの第1法則

「仕事の量は、完成のために与えられた時間を全て満たすまで膨張する」というのがパーキンソンの第1法則と呼ばれるものです。パーキンソンは英国の歴史学者、政治学者で、英国が植民地を失うのと逆比例して役人の数が増え続けたという現象から「人は資源を使い切ってしまう傾向にある」ということを発見したといわれています。

私も昔、新製品開発のプロジェクトを管理していたことがありますが、開発納期を前倒すことは至難の技でした。つまり、多くの開発者は、あればあっただけの時間を、目一杯使い切ってしまう傾向があるように感じました。

そういった部門の日程管理をされている方は、まさのこのパーキンソンの第1法則に悩まされているのではないでしょうか?

ところで、第1法則があるということは第2法則があるということですが、ちなみの第2法則は「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というものです。

興味深い法則(6):時間は体重の1/4乗に比例

本川達雄さんの「ゾウの時間ネズミの時間」という本によると、1日24時間という時間は万物共通のように見えますが、実際には人には人の、犬には犬の、ゾウにはゾウの時間があるそうです。

特に最近の生物学では、日常の活動時間は体重の1/4乗に比例するといわれています。

例えば、心臓の鼓動の間隔や呼吸など、体を一回転して戻ってくるまでの時間は、体が大きいものほど長く掛かり、小さいものほど回転が速いといわれています。

つまり生物には物理的な時間とは別にそれぞれの生物特有の時間があり、ゾウにはゾウのゆったり流れる時間があるということです。

そういえば、昔「ドックイヤー(犬の1年は人間の7年にあたる)」という言葉がはやりましたね。

                              出典:本川達雄著「ゾウの時間ネズミの時間」より

興味深い法則(7):パレートの法則

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という法則で、経済ばかりでなく多くの社会現象にあてはめられています。最近では、「80:20の法則」とか「8:2の法則」とか呼ばれ、ビジネスの様々なところで使われています。

例えば、「富は偏在する」などは味わい深いですね。

興味深い法則(8)ピーク・エンドの法則

「楽しかったとか苦しかったという記憶は、最高潮の時と、終わり方の楽しさや苦しさの度合いで決まる」といったのは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンです。彼は経済学と認知科学を統合した行動ファイナンス理論で有名な米国の行動経済学者ですが、この「ピーク・エンドの法則」では、途中の情報がなくなることはないが、全体の印象というものは最良(最悪)の時の楽しさや苦しさの度合いと、その体験がどのように終わったか、つまり楽しく終わったのか、つまらなく終わったのかの二つで決まるというものです。

このピーク・エンドの法則によれば、何かイベントを仕掛けるときは、クライマックスの盛り上げ方と、イベントの終わり方が成功のカギを握っているということですね。

興味深い法則(9)恒温動物は寒冷地に行くほど体が大きくなる

ドイツの生物学者クリスティアン・ベルグマンが1847年に発表したもので、熊を例にとると熱帯に生息するマレーグマは体長が140cmほどなのに対して、温帯から寒帯にかけて生息するヒグマの体長は150~300cm、北極近辺に生息する北極グマは200~300cmと、北へ行くほど体が大きくなっていきます。

これは体温の調節が関係しているといわれており、熱帯では熱を発散するために体重あたりの体表面積を大きく、寒帯では熱を発散しないように体重あたりの体表面積を小さくしようとするからだといわれています。

体重は体長の3乗に比例し、体表面積は体長の2乗に比例しますから、体重あたりの体表面積は体長に反比例します。

このように「恒温動物は同じ種でも寒冷地に行くほど体が大きくなる」という法則をベルグマンの法則といいます。

人間も恒温動物ですから、北欧の人の方が赤道近くの人より背が高いというわけですね。

興味深い法則(10)ウェーバーの法則

手のひらの上に10円玉を1枚、2枚と乗せていくと重さの変化は分かりますが、例えば持ち上げている30kgのバーベルの上に10円玉を1枚、2枚と乗せても、重さの変化はほとんど感じられません。

これは、「背景となる刺激がより強ければ、ある刺激が認識されるためには、より強い追加的な刺激が必要になる」というウェーバーの法則と呼ばれる精神物理学の法則です。

簡単にいえば、ある刺激(例えば重さ)が変化したと感じられるかどうかは、元の刺激の大きさ(最初に持っている重さ)に関係するということで、元の刺激が大きいほど、刺激の変化に鈍感になるということです。

規模の大きな会社の変化が緩慢に見えるのは、このウェーバーの法則が効いているのでしょうか?それとも、時間は体重の1/4に比例するという、あの法則が効いているのでしょうか?

興味深い法則(11)ピグマリオン効果

教師などから期待されることで、その生徒のやる気が引き出され、成績が向上する現象を、米国の心理学者ローゼンタールが発見し、それをピグマリオン効果と名付けました。名前の由来は、自分が彫った象牙の乙女像を愛し続け、ついにはその乙女像が人間になったというギリシャ神話にちなんでつけたそうですが、この「人は、期待された通りに成果を出す傾向がある」というピグマリオン効果自体は、実験の不備もあり再現性に乏しいとも言われています。

興味深い法則(12)島の規則

古生物学の世界では、「島に隔離されると、サイズの大きい動物は小さくなり、サイズの小さい動物は大きくなる」という「島の規則」と呼ばれる法則があるそうです。

なぜこんなことが起きるのかというと、島のような環境ではエサが少なく限られているので、捕食動物は生きていけず、結果的に草食動物だけが生き残ることになり、大きなサイズの草食動物は大きな体を必要とせず、小さなサイズの草食動物は小さい体で逃げ回る必要がなくなり、このようなことが起きるのだろうといわれています。

                             (出典)本川達雄著「ゾウの時間ネズミの時間」より

興味深い法則(13)サンクコスト

「もう一年間も研究してきて、まだ成果に結びついてはいないが、ここまでお金と時間を費やしてきた以上、この研究を今やめるわけにはいかない」と、歯を食いしばって頑張っている人は大勢います。別にそれが悪いというわけではありませんが、過去に投資した費用は回収不能で一般に埋没原価(サンクコスト)といいます。そして、この過去に投資した時間や金額がもったいなくて計画を止められない心理的な現象を「サンクコストからの影響にとらわれてる」といいます。

投資や研究開発は、とかくサンクコストにとらわれ、もう少し結果が出るまでと結論を先送りしがちですが、投資判断で重要なのは過去にどれくらい使ったかではなく、これからどれくらい必要になるかという点です。

興味深い法則(14)後悔の回避

株式の取引などで、損を抱えている投資家は大底で売るリスクを恐れて、損失を確定するのを躊躇してしまう傾向にあります。なぜなら、もしもその時が大底だったら、その決断によって、損失を出すばかりか、自分の面子も失ってしまうと考えるからです。

間違った決断をした場合の残念な気持ちは、決断が正しかった時の喜びを上回る傾向にあるといわれています。正しい選択が何だったのか容易に想像できる時ほど、自分の間違った選択による後悔の念は強まるのです。そんな後悔や残念な気持ちを経験したくないので、我々は時々、非合理的な行動をとる傾向にあります。

私も、損失を確定するのが嫌で、ある株式を長いこと塩漬けにしていました。

(出典)ヨアヒム・ゴールドマン他著、眞壁昭夫 監訳:「行動ファイナンス」より

興味深い法則(15)距離の法則

米国の文化人類学者エドワード・ホールは、動物や人間の観察から、人は他人との距離に次のような意味を持たせているといっています。

15cm~45cmは密接距離(ごく親しい人に許される距離)、45cm~1.2mは個体距離(相手の表情が読み取れ、個人的な話題を話し合える距離)、1.2m~3.6mは社会距離(知らない者同士の会話、客への応対距離)、3.6m以上は公衆距離(複数の相手を見渡せ、講演会などで公衆との間に取る距離)。・・・・ということは、やはり満員電車の中は、他人との距離が近すぎるということですね。

                                (出典)エドワード・ホール著「かくれた次元」より

興味深い法則(16)視線の法則

私たち人間の視線は、通常20度程度下がったところを見ていると言われています。ですから155cmの身長の女性なら、目線の高さは約140cm、そこから20度ほど下がった注視している視線の高さは約110cmになります。

一般に垂直の陳列棚だと75cm~135cmぐらいが商品を一番取りやすい高さで、ゴールデンゾーンと呼ばれています。

ちなみにジュース等の自動販売機で上下三段に商品が陳列されている場合、一番下の購入ボタンの高さは約100cm、一番上のボタンは約140cmだそうです。

                            (出典)永島幸夫著「売れる陳列、売れない陳列」より

興味深い法則(17)フレーミング効果

一般に人は何かを理解するとき、何らかの枠組み、ないしは心理的な解釈の枠の中で理解しようとします。これをフレーミング効果といいます。例えば手術を控えた患者に、「失敗して死ぬ確率が1%ある」というのと「99%の確率で健康を取り戻せる」というのでは大きな違いがあります。もしかすると前者では手術を拒否する確率が高まり、後者では手術を決断する確率が高まるかも知れません。

つまり、同じ事実であっても、プレゼンテーションの仕方によって、意思決定が異なってくるということです。

興味深い法則(18)イノベーションのジレンマ

優れた製品やサービスを持っている企業は、既存顧客の声を重視してその製品やサービスの改良・改善に目を奪われてしまいがちで、新規の顧客や市場への対応が後手に回り、やがて新興企業が開発した新しい製品やサービスによって市場を奪われてしまうことがあります。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。

この「イノベーションのジレンマ」は、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセンが1997年に提唱したもので、イノベーションには従来品の改良を進める「持続的イノベーション」と従来品の価値を破壊するかも知れない全く新しい価値を生み出す「破壊的イノベーション」があるといわれています。

そして企業は、一般にこの「持続的イノベーション」を無視できないことと、「破壊的イノベーション」を進めると自社内にカニバリゼーション(食い合い)を起こしてしまうことから、「持続的イノベーション」に注力してしまうので、このジレンマが起きるといわれています。

興味深い法則(19)プライミング効果

「果物」の話をしてから、「赤という言葉を聞いて何を連想しますか?」と聞くと、「いちご」や「りんご」という回答が出やすく、「車」の話の後で同じ質問をすると「信号」や「スポーツカー」といった回答が出やすくなります。これをプライミング効果を呼びます。

プライミング効果とは、一度受けた刺激が後で受ける刺激に影響を与える現象で、プライミングとは「先に見聞きする事柄」を指します。

このような現象が起きるのは、単語や概念がお互いにネットワークを形成しているからだといわれています。

最初にインプットされた情報によってその後の受け止め方が違ってくるなんて、ちょっと怖いですね。

                        (出典)ヨアヒム・ゴールドベルグ共著「行動ファイナンス」より

興味深い法則(20)ギャンブラーの誤り

確率の問題です。ルーレットで9回も連続して黒が出ました。こんなことはめったに起きないので、次こそは赤が来るだろうと考えています。(もちろん、ルーレットにはイカサマはありません)

これは「ギャンブラーの誤り」といわれるもので、次に黒の来る確率も赤が来る確率も共に50%です。しかし、9回も連続して黒が来ると、めったにないことが起きているので、次は赤が来る確率が高くなると考えがちですが、確率としては同じだというわけです。

完全にランダムな値動きをする株の架空実験でも、多くの人が長期にわたる下落傾向の後には株価の上昇を期待するという結果も出ています。

偶然が支配する出来事でも、前に起こった一連の出来事を何か意味があるように関係づけてしまいがちですから注意が必要です。

興味深い法則(21)ジャネの法則

心理的な時間の長さは、年齢に反比例するといわれています。

これは、19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者ピエール・ジャネが著作の中で紹介したものです。50歳の人にとって1年は人生の1/50ですが、5歳の子供にとっては人生の1/5にしか当たらず、心理的な長さが違ってくるというものです。

つまり、主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にとってはより短く感じられその長さは年齢に反比例するというものです。

但し、年を取るにしたがって時間の流れを早く感じるのは、生活の中で新しい感動が少なくなり単調になるからだともいわれています。

どちらにせよ、年を取るにしたがって時間が短く感じられるなら、時間は無駄にはできないですね。

興味深い法則(22)視線のカスケード

認知心理学者であるカルフォルニア工科大学の下條信輔教授が行った実験(2枚の写真を見せて『どちらが魅力的か判断し決まったらボタンを押して下さい』という実験)では、多くの被験者がボタンを押す1秒くらい前から視線の位置が偏り始め、片方の写真を見ている確率(視線の偏り)が約80%以上に達した時点で初めてボタンを押すというアクションを起こすのだそうです。

教授はこれを「視線のカスケード」と名付けています。カスケードとは、階段状に流れる水や滝という意味で、ここでは連鎖増幅という意味で使っています。

つまり、「好きだから見る」のではなく、「見るから余計に好きになる」ということです。

                               (出典)下條信輔著「サブリミナル・インパクト」より

興味深い法則(23)集団の知恵の法則

市場調査でマーケットの漠然とした傾向をつかむことはできますが、より本質的な問題をえぐり出すには、優秀なプロのマーケッターの意見を聞いた方が良いと、皆さんは考えていませんか?

確かに優秀なプロのマーケッターの意見を聞くことに意味がないという訳ではありませんが、以下の4つの要件を備えた集団の意思決定は、個人の意思決定より質的なレベルが高くなってくると言われています。

その要件とは「①意見が多様である、②意見がそれぞれ独立している、③意見の材料となる情報が分散している、④意見を集約する仕組みがある」というものです。この4つの要件を備えることは簡単ではありませんが、こうして結論づけられた集団の意思決定は、多くの場合に正しいといえるのだそうです。

                  (出典)ジェームズ・スロウィッキー著「みんなの意見は案外正しい」より

興味深い法則(24)確率が人の行動に与える影響

1%の確率で5万円もらえるのと、確実に500円もらえるのとでは、70%以上の人が前者を選び、1%の確率で5万円失うのと、確実に500円失うのとでは、70%以上の人が後者を選ぶのだそうです。これは、トベルスキーとカーネマンという行動経済学者が、確率が人の行動にどのような影響を与えるか調べた有名な実験結果です。

それによれば、人は自分が得をすることに関しては、小さい確率でも取得金額の大きい方を選択し、損をすることに関しては、小さい確率でも損失金額の大きい方を避ける傾向があるということです。

前者の典型的なケースは「宝くじ」、後者は「保険の加入」だそうです。

「そういわれてみれば自分もそうだ」と妙に納得してしまいました。

                         (出典)マッテオ・モッテルリーニ著「経済は感情で動く」より

興味深い法則(25)ジップの法則

1番人口の大きい都市は、2番目に大きい都市の2倍、3番目に大きい都市の3倍の人口がいるそうです。これは「ジップの法則」と呼ばれる経験則で、「サイズがK番目に大きい要素の全体に占める割合は1/Kに比例する」というものです。ちまり、サイズの大きい順に並べると、1番目:2番目:3番目=1/1:1/2:1/3になるということです。これは、単語の費用頻度、都市の人口、収入などの特に上位の分布に当てはまるのだそうです。

ちなみに、平成22年10月1日付の日本の主要都市の人口は、第1位が東京(特別区)で8,946千人、第2位が横浜市で3,689千人、第3位が大阪市で2,665千人、それぞれの都市に対する東京の倍率を求めると、横浜市が2.43倍、大阪市が3.36倍になります。

                                     (出典)勝間和代著「利益の方程式」より

興味深い法則(26)ディヘイの公理

ディヘイの公理とは「簡単な仕事は、いつでも出来るという理由で、常に先送りされる」というものです。多分これは経験則だと思いますが、私自身も「いつでも出来る」とたかをくくって、先延ばしをした結果、後でそれが大きな問題に発展してしまったという経験があります。

やはり、今日できることは、今日やってしまうべきですね。

興味深い法則(27)エメットの法則

「仕事を先延ばしにすることは、片づけることより倍の時間とエネルギーを要する」と言うのは、タイムマネジメントの専門家リタ・エメットが提唱したものです。

リタ・エメットは著書の中で「グズは持って生まれた性格でも個性でもなく、ただの習慣や一つの態度に過ぎない。そして、その原因は、完璧さに対するこだわりだ」と言っています。

やはり、完璧さを求めず、目の前にある仕事からどんどん片づけて行くことが、結果的に効率も精度も高くなるようです。

                          (出典)リタ・エメット著「いま、やろうと思っていたのに」より

興味深い法則(28)後悔の法則

「トム・ソーヤの冒険」で有名な米国の作家マーク・トウェインは、「20年も経てば、したことより、しなかったことを嘆くようになる」といっています。

後悔を嫌い避けたいという人間の心理は、さまざなな意思決定に大きな影響を与えているといわれています。しかし、後悔する中身は、時間の経過と共に視点が変化し、若いころは「手を出して失敗したこと」を悔やみ、年を取るにつれて「しなかったこと」を後悔するようになると言われています。

つまり、人は「手を出して失敗した行為」に強い後悔の念を覚えますが、自分の生涯を振り返るような長いスパンの場合には「やらなかったこと」を悔やんで、心を痛める傾向にあるということです。

人生1回きりですから、やりたいことは悔いのないようにやっておくべきですね。

                          (出典)マッテオ・モッテルリーニ著「経済は感情で動く」より

興味深い法則(29)希少性の法則

アメリカの社会心理学者ステファン・ウォーチェルは、半数の被験者には10枚のクッキーが入っている瓶を、残りの半数の被験者には、2枚しか入っていない瓶を渡して、クッキーの味を評価してもらう実験をしたところ、2枚しか入っていないグループの方が好意的な評価をしたそうです。

つまり、10枚の中の1枚より、2枚しかない内の1枚の方が評価(価値)が高かったということです。

このように数量や期限に制限が掛けられた物、つまり残り少ない物に人は価値や魅力を感じるということで、これを「希少性の法則」といいます。

TVショッピングでよく見る「先着100名様」とか「今回限り半額」というのも、人数限定、期間限定という「希少性の法則」の応用です。

                        (出典)Web:「若手社員の心理術・処世術・心理学辞典」より

興味深い法則(30)オーバーロードの法則

比較発生学を専門にしたドイツのウィルヘルム・ルーは、生理学の基本的な法則を幾つか示していますが、それを発展させたものに「トレーニングの3原理」と呼ばれるものがあります。

その一つに「高い運動負荷を掛けなければ、体力は向上しない」というオーバーロードの法則というものがあります。

これは、普段より高い運動強度でトレーニングを続けると、その負荷に体が適応し体力レベルが向上して行くというものです。

このオーバーロードの法則は、体力ばかりでなく、何事においても他人より抜きんでようと思ったら、人並み以上の努力が必要になるということに通じているようですね。

                              (出典)川口 博正著:「トレーニングの原理・原則」